2002年 3月


 

3月3日(日)

 弱ったバッテリーを充電し、再度挑戦するも、まだ回転が重い。どうやらバッテリーの問題だけではなさそうだ。
回転の重さでまず思い当たるのが、潤滑系。
このエンジン、リビルト後かなりの年月がたっているので、メタルなどのオイルが切れてしまっているのかもしれない。
いやな予感がして、とりあえずオイルポンプがちゃんと作動しているかどうかを確認してみる。
オイルフィルターへの配管をはずし、プラグをはずしてクランキングしてみるも、まったくオイルが出てこない。
オイルポンプにエアがたまっているかと思い、吐出し口からオイルを注入し、クランキングしても圧送が始まらない。
こうなると、オイルポンプの不良が頭をよぎる。やはり、イギリス人が組んだエンジンを信用してはいけないのか??? 
オイルが切れているかもしれない状態でクランキングを続けられないので、思い切ってポンプを点検することに。
 オイルポンプはクラッチのハウジングのさらに奥にある。一度組んだフライホイールとクラッチを再度外し、ハウジングをエンジンからゆっくり切り離す。
ハウジングが動き、あいだのガスケットが剥れた途端、オイルが隙間から吹き出てきた。エンジンオイルを抜き忘れていたのであった。
慌ててハウジングを元に戻し、ドレンからオイルを抜いたあと、ハウジングを切り離した。
 問題のオイルポンプを取り外すと、ピカピカの新品の様で、これといった問題も見当たらない。今回はイギリス人を信じてもよかったみたいだ。
まぁ、問題がないことをこの目で確認できたので、それで良しとしよう。となると、何がおかしいのか? やはりエアか? 
ポンプの吸引側にオイルを満たして、元の通り組み付けた。そしてクラッチハウジングを組み付けたところで、今日の作業は時間切れ終了。


3月9日(土)

 オイルポンプに異常が見当たらなかったので、エンジン本体の状態がどうなっているのか、不安になって仕方がない。
長いイギリス暮らしでイギリス人を信用出来なくなっているからかも知れない。
あとでバラすのもいやだし、この際エンジンブロックとミッションを切り離し、メタル&ピストンを確認することに。
 
 先週組んだクラッチハウジングとラジエターを外し、シリンダーヘッドを取る。
ブロックとミッションを留めている10数本のボルト&ナットを外していよいよ切り離しだ。 しかし、ここで問題が。
ブロックは重かった!エンジンクレーンなど無いから、人力で持ち上げなくてはならない。
何とか作業台まで持っていけたが、腰が逝ってしまいそうだった。


3月10日(日)

 まずは分離したエンジンブロックから、コンロッド/クランクベアリングのボルトを外し、メタルに傷が無いかを確認する。特に傷は無い。
そしてピストンを外し、チェック。こちらもOKだ。
しかしこのピストン、リングが5本もある。上3本で圧力を保持、ピストンピンを挟んだ2本でオイルを保持する構造のようだ。
こんなピストン初めて見た。(すいません、写真とり忘れました。)
 ついでにカムも外してみる。ベアリングに傷が無い事を確認し、たっぷりとオイルを塗って組み付け。

 そして、クランクを組み付け、ピストンをリングコンプレッサーにセットしてシリンダーへ挿入。
コンロッドをクランクに組み付けるが、クランクの回りが重い。もう一度バラすと、例の5番目のリングがかけている。
どうやら、リングコンプレッサーが正しく作用しなかったようだ。(←要は自分のミスです) 
シリンダーに傷が出来なかったのは不幸中の幸いだが、かけたリングを購入しなければならない。 組み付け作業はここまで。

 ここで、先日見つけたタペットカバーの色を塗る。
古いエンジンには、簡単にタペットが取り出せるようにカバーがついている。このカバーも初期と後半では形状が異なる。
写真の左の物が通常良く見るタイプで、右が極初期のもの。
ブリーザーの出る場所と形状が異なり、そしてカバー中心部が新しい方が凹んでいるのに対し、古いのは凸っている。
まぁ、車載時には見えないところだが…


3月23日(土)

 頼んであったリングが届いた。今度はリングを壊さないように慎重に組み付ける。そして、すべての部品を組み付けブロック側は完成。
ミッション側は、何も手をつけず(というかつけられない)オイルを吸い上げるOリングのみを新品に。
そして、新品ガスケット&シールを組み付け、ブロックを乗せる。周辺部品を組み付け、やっともとの姿に戻った。
 
 さて、肝心の車の方だが、作業が一向に進んでいない。いよいよ堪忍袋も限界(←遅すぎ!)に達し、激しく抗議をH-Miniに入れる。すると…
「作業再開の目処が立たず、いつ完成するかわからない。急ぐのであれば、ほかを探してもらっても構わない。」
いわば、ギブアップ宣言、Mini-Sとまったく同じパターンだ。もう、呆れるばかりである。どーなっているんだぁ、イギリスは〜!!!
 彼らの言い訳として、「元々は、車の販売がメインで、修理が必要な在庫車が契約された時には(現状で売れる車など無く、ほとんどが修理が必要)、
そちらが優先される。このところ、車両販売が忙しくて(私の車の)レストア作業が進められない。」であるが、元々去年の5月に完成できるというから、
ここを選んだのだ。まったくもって、イギリス人はその場の事しか見えない人種なのである。
 この落とし前は、きっちりつけてもらうことにするが、まずは3箇所目のガレージ探しだ。
 

3月25日(月)

 2度の失敗を教訓として、今度は純粋なレストア屋を探す。条件は2ヶ月以内に完成できるところ。実は、この夏に帰国するという話があるからだ。
イエローページでレストア屋を探してみると(ちゃんとレストア屋という分類がある)、家の近所にモーリスマイナーやMGが得意な所があるではないか。
早速電話をかけてみる。簡単に現状を説明してみると、「出来そうだよ。今度実車を見せてくれ。」とオーナーのリチャードが言う。
こちらも、ガレージの設備等確認したいので、写真を持って訪問することに。
同時にH-Miniへ連絡し、今度の週末に車を自宅へ持ってくるように連絡する。
 

3月30日(土)

 H-Miniから車が返ってきた。1年7ヶ月ぶりの我が家だ。しかし、出て行ったときと大差ない。各部をチェックして、写真を撮る。

 その写真を持ってリチャードのレストア屋へ。
多少車両の販売はしているようだが、メインはレストア。ちょうど真っ赤なMG-Bがオーナーへ引き渡される所だった。
そして、年配のメカニックが50年代のモーリスマイナーのエンジンをばらしている。その奥にはロールスロイス。
いかにも英国のレストア屋っぽい雰囲気だ。
 そして、オーナーのリチャードと会う。ここは、レストア車両の日本への輸出も手がけているとのことで、質は良さそうだ。
で、早速リチャードに写真を見せたが、
「うーん、こりゃ予想よりはるかに手間がかかる。2、3週間の仕事なら、他のを休んであげようと思ったが、こりゃもっと時間が必要だ。
それ以上他の仕事を止める事は出来ないので、とてもじゃないが、2ヶ月では出来ない。」 やはり無理なのか。
がっくりした私を見かねたのか、リチャードが「うちの車をを含め、日本へ輸出する仕事をしている日本人のU氏なら、いいアイディア出してくれるかも。
一度相談してみたら?」と教えてくれた。早速、電話を入れて、夕方落ち合う事になった。

 このU氏、イギリスに20年以上住み、クラッシックカーやスポーツカー、部品などを個人、業販問わず日本へ輸出しているそうだ。
当然、こっちでのレストア屋の経験も豊富。
うちのミニの現状や諸条件を説明し、車の作業と日本への輸出手続を含め、これからの事をお願いする事にした。
とりあえずは、なじみのレストア屋に打診してもらうことに。 

 


      


作成者:マロンパパ