What's C3 ?
SensoDrive


C3 1.6Lの最大の特徴は、5MTのシフトチェンジとクラッチを自動で操作するセンソドライブ。名前は違えど、フェラーリのオートマチックトランスミッション(AT)として一躍有名になり、その後アルファロメオやトゥインゴ、スマートなどのヨーロッパ車を中心に採用、日本ではトヨタMR-Sにも搭載されている。簡単に言ってしまうと、マニュアルミッション(MT)の人間が行う操作をメカが代行してしまうシステムだが、あまり有名では無いので、ちょっと紹介しちゃいましょう。

1.メカニズム

センソドライブにはクラッチペダルが無く、一見は普通のATの様だ。事実、この車はAT限定免許で乗ることが出来る。しかし、ミッション自体はMTと基本は同じ。一般用語ではAMT(Automated Manual Transmission)と呼ばれるこのシステム、どのような構造なのだろう? 
まず、MTの操作を思い浮かべてみよう。Hパターンのシフトレバーは上から見ると前後と左右それぞれ3ポジションづつの組み合わせで置き換える事が出来る。たとえば、1速はA-a、2速はC-a、5速はA-c。この前後(A-C)、左右(a-c)の2つの位置をワイヤーやロッドでミッション本体へ伝えることにより、ギアを選択してるのだ。
そしてAMT。難しいことは無い、この2つの位置を人力ではなくメカが選択するだけ。フェラーリやアルファなど今までのおもなAMTが油圧式(ポンプアップした油圧をアキュムレータに蓄圧し、ソレノイドバルブでコントロールした油圧によりシフトポジションを選択)を使っているのに対し、後発のセンソは電動モータを使用している。
まずはミッションケース上部に取り付けられたシフト用モーターユニット。2つのモータが備わっており、A-Cとa-cを切り替えている。
そして、もうひとつのメカ部、クラッチもやはりモータを使用。ピニオンギア→リングギア→クランク→ロッカーアームで回転運動を直線運動に変化させ、クラッチの断続や半クラまでコントロール。これら二つのモーターユニットはドイツSacs社製だ。
そしてセンソの心臓部、ドイツSiemens社製のコントロールユニット(ECU) は、ミッションケース前方下部に固定。雨風小石などがモロに当たりそうだが、大丈夫なのだろうか?このECUが電子スロットル付きEMS(Engine Management System)と連携をとり、シフトアップ/ダウン時のエンジン回転数をアクセルペダルの位置に関係なくコントロールするのだ。

以上がセンソドライブの主なコンポーネンツ。油圧式よりかなりシンプル。しかしシトロエンの十八番である油圧システム(ハイドロ)が無いのは少しさびしい…かな?

2.操作系

マンマシンインターフェースは、シフトレバー、パドルシフトスイッチ、オートスイッチとメーター内のポジション表示。(アクセルやブレーキペダルも入るかな?)。

シフトレバーはパークポジション(手を離した時に止まっている場所)から前方がシフトアップ、後方がシフトダウン、右へ倒してニュートラル。リバースはニュートラル位置からさらに後方へ倒す。(シフトノブに書いてある通り。)
パドルシフトスイッチはハンドルとライトワイパースイッチとの間にある三日月状のスイッチで、右側を手前に引くとシフトアップ、左側がシフトダウン。あくまでシフトアップ/ダウン専用で、ニュートラルやリバースに入れる時はシフトレバーを操作しなくてはならない。
オートスイッチはその名の通り、自動変速のON/OFF切り替えスイッチ。エンジン始動時は、必ずオートモードになっていて、マニュアルモードにするには、オートスイッチを一度押すか、シフトレバー/パドルスイッチでシフト操作する必要がある。
メーター内の表示部左下部には、シフトポジション(1〜5、N、R)とオートモード時には「AUTO」が表示される。

シフトレバー ←の中身 パドルシフトスイッチ オートスイッチ メーターディスプレイ


3.インプレッション

難しい話はこのくらいで、肝心のインプレッションはどうか。(まったくの個人的な主観で書いてます。)

オートモード
いわゆる通常のATと同等なモードでセンソシステムが勝手にシフトアップ/ダウン、クラッチ操作を行ってくれる。ドライバーはただアクセルを踏むだけ。シフトパターンはアクセルの踏み具合や水温などで変わってくるが、ごく軽くアクルを踏み込んで走らせた場合、1→2速が約20km/h、2→3速が約35km/h、3→4速が約50km/h、4→5速が約70km/hとなる。当然、素早く踏み込めば、シフトタイミングが遅くなりエンジンを引っ張ってくれるなど、いろいろな条件で決め細やかにパターンを変えてくれる。(前の愛車、ZXのATは通常1パターンとキックダウンだけだったからなぁ…)
減速時のシフトダウンもエンジン回転をあわせながら自動に行ってくれる。MTでのヒール&トーのように、ちゃんとアクセル(スロットルバルブ)を煽ってくれるのだ。そして停止寸前で、クラッチを切ってくれる。まさにAT感覚だ。
し・か・し、普通のATと比べると、多少不便さが気になってしまうのも事実。
まずは、MTベースだから仕方がないがクリープが無い。だから坂道発進ではMT車同様サイドブレーキが必要。(裏技として左足ブレーキも可、これ便利です。) 
そして加速中のシフトアップ時に起きる減速感。特に1→2速では、つんのめる様な感じだ。変速時、クラッチを切る→スロットルを閉じる→シフトチェンジ→スロットルを調節→クラッチをつなぐ、の各動作が確実几帳面に行われる感じだ。もう少し、各動作を平行して行うようなプログラムになれば良いのだが。それともギアチェンジ/クラッチ作動をモータで行うのでは、油圧式に比べ作動スピードに限界があるのか… 我慢できないレベルではなく、慣れてしまえば気にならなくなる程度の問題だが、ぜひ改善を望みたい。

マニュアルモード
センソはやはり基本はMT。だからオートモードよりマニュアルモードのほうが楽しい!アクセルを踏めば半クラでスルスルーっと発進するのはオートモードと同じだが、勝手にギアが変わらない(オーバーレブ防止で回転が上がり過ぎた場合のみ自動でシフトアップ)。MT同様、好きなときにシフトアップできるのだ。
その作業は、アクセルを抜き→シフトレバーまたはパドルスイッチでシフトアップ→すかさずアクセルON。MT乗りなら身体にしみ込んだ感覚のまま操ることが出来る。そしてそれがうまく決まれば、オートモード時の様なタイムラグ&減速感が出ない。まるでMT車のようだ。
もちろん、アクセルを操作しなくてもシフトアップは可能だ。しかし、その場合はオートモードのような減速感が出てしまうので、やはり、積極的にシフトチェンジ&アクセル操作を行ってほしい。
また、シフトダウンはオートモード同様、車速にあわせてアクセルを煽りながら自動でシフトダウンをしてくれ、1速で停止する。普段、街中を流すようなときは、非常に便利だ。もちろん、エンジンブレーキが必要なときや加速したい時に、自分でシフトダウンすることも可能。用途に合わせて使い分ければ、楽して楽しめる便利なシステムだ。

ということで、まとめてみると…
普通のATと比べてしまうと違和感が出てしまうかもしれないが、MTの車なのに自動でクラッチやシフトチェンジが行われ楽が出来る車、と考えれば、非常に良い車だと思える。特にMTが好きだけど、家族のためATしか選べないお父さんには絶対にお勧めである。
また、MTになれていない人も、車にただ載せられるのではなく、車を操る快感を感じてほしい。マニュアルシフト可能のATとは、ダイレクト感が違いますからね!ただ、慣れるには結構時間がかかるので、短時間の試乗では楽しさを感じ取れないかも知れないので、ぜひとも長時間乗って少しでもこの楽しさを感じとり、次期愛車候補としてほしい。


 


作成者:マロンパパ